満月衛星。-ss-Shangri-La 満月衛星。 ss - Shangri-La

『Shangri-La』


 とっくの昔に解ってたことだった。彼女が僕に嘘の告白をした時も、彼女の目は僕を見てなかった。
 それでも心の中の僕が囁いた。
「OKしちゃえよ」
「こんなん奪った者勝ちだろ」
 確かにそうだと思う自分が居た。でもそうはしなかった。バカだ、僕はバカだ。
 あの時、彼女は僕じゃなくて、僕の後ろに居たあいつに行っていたことはその後すぐに解った。本人が出てきたんだからね。
 その時あいつに言ってやったんだ
「あんたの悩みは贅沢なんだよっ」
 本当にその通りだと思う。こっちはこんなことで悩んでるってのに……



 制服を着た彼女の上着を脱がせる。自分で脱がせるなんて親切なことはしてあげない。
 それから、かすかに頬を染めて目線をはずす彼女のタートルネックを脱がにかかる。
 たくし上げると下から現れた意外と細い腰と白い肌がタートルネックの紺色とのコントラスト差のせいか眩しく見える。
「ようへい……」
 恥ずかしそうに目を潤ませて僕を見てる彼女――藤林杏に対して――に征服感を覚える。僕の、ものだ。
 そのまま腰に手を回してお腹にキスをする。「ひゃんっ」と言うくすぐったそうな艶の声を上げるけど嫌がる様子はない。
 嫌がる様子を見せたところで止めてあげるつもりはないから、そのままお腹に舌を這わせる。
「ぁぁぁぁぁぁぁあああああ……」
 切ない声を上げる彼女に満足感を覚えながら、タートルネックの下に手を突っ込んで、上に手を伸ばしていく。
 膨らみのまろやかさを掌に覚えながら、やわやわと手を動かして心地よさを感じる。
 少しすると杏が感じてきた証拠が掌に感じられた。胸のてっぺんでツンと上を向いて自己主張しているしこりのようなそれを掌で転がす。
「ようへいっ、ようへいっ、切ないよぅ……」
 涙目になってあまりにも声に余裕が感じられなくなったので流石にこの辺で勘弁してあげることにした。そのままタートルネックを剥いで、上半身を裸にする。
 杏に顔を近づけると、僕がキスをしようとするのを待ちきれなくなったように彼女から積極的に唇を合わせてきた。
 唇と唇をお互いに貪りあうように口に含み、下を絡ませる。情熱的な、大人のキス。
「んっ、んんっ……、はむぅん、ん……。はぁはぁはぁはぁ……」
 息を荒げている杏をみてから僕はゆっくりと唇を耳に移して甘く噛んだり、舐めたりしてまた杏を喜ばせる。
 そこから舌を少しづつ下に移していく。
 首筋、鎖骨と丹念にキスの雨と舌で蹂躙する。
 キスをするたび、彼女は我慢しきれなくなって背筋をピクンピクンと伸ばし甘い声で鳴いた。
 胸の先端を口に含むとそれは更に激しさを増した。
 イヤイヤという風に顔を横に振っているのに、気がつくと自分の腰を僕の足に絡ませて自分で腰を振って快楽に身を投げる。
 こすり付けられた足に湿り気を感じて、彼女のそこが既に大洪水になっていることを僕は知った。
「ああっ、ダメッ、ダメッ、ダメッ、ダメなのっ、飛んじゃうっ飛んじゃうううううううううううううっ」
 背中を思いっきりのけぞらせて天国へと一人昇っていった。
 後にはぐったりとした杏が抜け殻みたいになって地上に戻ってきた。まるで天使みたいにキレイだと思った。
 でもまだ休ませて上げない。そう思ってもう一度彼女に天国へ行ってもらおうと思っていると、今度は彼女が反撃に出てきた。
 僕を押し倒してそのままマウントポジションを取る。嬉しそうに笑う彼女。このまま食べられそうな勢いだったけど、それもいいかもしれない、って思わせるほど彼女はキレイだった。
「うふ」
 と妖しく笑って体を倒して服を脱がせる。そしてまるで仕返しといわんばかりに僕の体にキスの雨を降らせる。胸の先端を丁寧に嘗め回しては口に含んで舌で転がす。
 気持ちいい。彼女の舌使いと足に当たる膨らみの感触をそこから感じる彼女の熱。全てが現実離れしていて夢心地だった。
「陽平、気持ち良い?」
「うん、最高だよ」
 そのまま下にスライドさせながら僕のズボンとパンツを脱がせた。僕のモノは猛り狂っていて、杏はまるでそれをあやすみたいに、そして美味そうに口に含む。
 口の中で杏の舌がまるで別の生き物みたいに僕に絡みいてきて、とても甘美。意識とは別の愛がほとばしる。このまま杏に溺れたいと思った。
 だけど、やられっぱなしなのは悔しい、だから僕も反撃に出る。
 づりづりと体を移動させて杏の下に潜り込む。そのまま彼女の形のいいオシリを掴むと、グイッとこちらに引き寄せた。
 僕の意図を察した杏が「だめっ」と可愛く悲鳴を上げるけどもう遅い。
 閉ざされた闇を切って杏の蜜をすする。
「うあぁっ……ふあぁあああああああっ」
 声のトーンが一つ上がる。口が僕から離れたのをいいことに一気に畳み掛けるように彼女の蜜をすすった。
 彼女の声と蜜は、媚薬みたいで僕の脳内をどんどん麻痺させる。
「杏……もぉ……」
 杏と目を絡ませてそう伝えると、彼女の方も限界だったんだろう。呼吸を整えると
「うん、あたしもよ。……陽平、来て……」
 と伝えて腕を伸ばしてきた。それに答えて僕も彼女の腰に手を回して彼女の熱を感じる。
 肌と肌のぬくもりを感じあうと、体を離してもう一度目を絡ませて口付けをする。
「いくよ」
 こくん、と杏が首を縦に振ったのを確認すると、僕は花の渦の中に身を滑り込ませていく。
「……あ、ああっ、あああああああぁ、ようへいが、ようへいが、入ってくる……っ」
 僕のが杏の中に入っているのを見てますます興奮する。
「あた、あたしの、あたしの中でっ大きくなったぁああっ、いい、いいのっ。おかしく……っちゃうのっ、おかひくなっちゃうのっ、あんっ、あひんっ」
 嬉しそうな声で鳴いてくれる杏を観て嬉しくなる。僕が無心で腰をグラインドさせるとそれに合わせるようにして彼女も、彼女の中も、動く。
 唇を合わせて、お互いの肌のぬくもりを確かめ合って、甞めあって、体制を変えて、また動いた。唯一しなかったことは、離れること。それだけだった。
 やがて僕にも最後の限界の時が近づいてきた。動きが大きくなったことでそれを感じ取ったらしい杏が
「行こう、一緒に行こうっ」
 と言ってくれたことがとても嬉しくて、体制を始めの状態に戻して、もう何度目になるか解らないキスをした。
 最後の力を振り絞って彼女を抱きしめて腰を動かす。彼女もそれに合わせる。
「はぁ、ああっ、あんっ、あ、うんっ、来てっ、来てようへい、一緒に行こう? ……もうだめっ、いやああああああああっ」
 思いっきり搾り取られるような感覚を感じて、我慢しきれなくなって、僕も杏と同じところへ行った。
 杏の中に僕の印が残されていく。
「ああ……熱い……。ようへいでいっぱいになってるのが解る。……あっ、溢れちゃう」
 止まらないマーキングが中から溢れて、その光景がまた淫靡だった……


 そして僕は、僕の欲の塊の詰まったティッシュをゴミ箱に投げた。ロングシュートは決まることなく、ゴールポストに当たってボールはそこらへんに転がった。
 もう拾う気も起きない。そのままベッドに体を投げて眼をつぶる。
 気分はひたすら最悪だった。



 あの告白ごっこからしばらくして彼女は結局あいつとくっついた。それはそれでいいとおもったけど、僕の思いだけがそこらへんに取り残された。
 取り残された気持ちだって、そのまま消えてくれればいいのに、いまだ消えてくれる様子がない。それどころか、人のモノになって彼女はますます可愛く、そしてキレイになった。僕の気持ちだけがますます募る。
 ボンバヘッは気になる彼女をクラブで見つけてナンパしたらしいけど、学校でほぼ毎日のように顔を合わせる気になる彼女を今更ナンパなんてできるわけがなかった。
 第一彼女は既にあいつのものだ。
 だから僕に出来たのは、あいつが帰った夜遅くに彼女の写真を引っ張り出して一人芝居に花を散らせることくらいだった。

 僕の気持ちは彼女に届かない。








おわり







---あとがき---
 昭和、童貞、妄想、万歳。
 いやね、お題が「恋」って聞いて思いついたのがこれだったのよ。
 露骨に書いたつもりはなかったけど、どうやら露骨だったらしく、感想会参加者全員からレッドカードを貰った結果曰くの付いちゃった作品。
 所詮童貞、所詮妄想って言うノリで書いたんだけどねぇ〜。
 目指したところは「昭和臭漂う芸術的レベルでのエロス」。カリガリの「ブルーフィルム」レベルを目指したんだけど、まだまだ腕が足りなかったらしいよ。
 一応表現には気を使ったし、って言うか使いまくったし、色気はほどほどにっつっても、この程度のことなら誰でもすると思うんだけどなぁ〜。
 創った人間の意図と、読み手の感じるものって全然別物なんだなぁ〜とほとほと感じたよ。ま、いっか。

 タイトルのパクリ元は電気GROOVEじゃなくてshameさんの曲。実は歌詞も結構パクらせて貰ってたりします。ありがとうございます。
 shame「Shangri-la(FJSE-001)」
 (05/10/23)

 P.S.感想なんかをmailformBBSにいただけると、嬉しいです。是非……おひとつ……

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