満月衛星。-ss-朋也くんとメイドさん達 〜部長、頑張ってます編〜 満月衛星。 ss - 朋也くんとメイドさん達 〜部長、頑張ってます編〜



 ある日のこと、いつものように演劇部室に向かうと、

「あンっ、杏ちゃん、もうやめてくださいっ……」
「いいじゃないのいいじゃないの、減るもんじゃなし」
「そっ、そういう問題じゃっ……ァンっ……」

 中から恐ろしく秘密の花園な会話が聞こえてきた。


『朋也くんとメイドさん達 〜部長、頑張ってます編〜』


 うをををををををををいッ、会話の内容……というか古河の色っぽい声で一瞬理性が、ぶっ飛んだが杏の
「うひゃっひゃっひゃっひゃっ、ええではないか、ええではないか」

 とか言う親父クサイ台詞で意識を取り戻す。思いっきり横にヘッドバッキングして目を覚まさせてドアを思いっきり叩く。

「おい、部長、大丈夫かっ? 入るぞ?」
「今着替え中で〜す」
「あ、ご主人様、助けてくださいっ」

 ……あっ、ヤバイヤバイ、また意識がどっかに逝っちまった。あまりにも庇護欲をそそるような声だったもんで、ってそーじゃない。
 俺はようやっと我に帰ってドアを開けた。杏の台詞が気にならんでもなかったが、これはこの際無視することにした。今最重要なのは古河の救出だからな。

「ご主人さまっ」古河の顔ががパァッなるのが解ったが、解ったが
 んがぁっ

 なんていうか……アレだな。開いた口がふさがらない。
 ドアを開けた俺を待っていたのは、制服の上をひん剥かれたと思しき古河と、その古河の胸を揉みしだいている杏の姿だった。

「杏……」
「なによ?」俺が可哀想な物でも見るような目で見ていたのだろう、杏がおっかない表情で睨み返してきた。
「いくら男にモテないからって、何も古河を襲うこたぁねぇだろうよ」
「ふっ、甘いわね、それとこれとは別問題なのよ」
「別問題っつーんなら、セクハラか?」
「あんたの覗きの現行犯かもねっ」
「ドアホゥ、お前がそのセクハラを止めれば万事解決だろうがよ」
「イタッ、何も叩くことないじゃないのよっ」

 実際には軽くはたいたくらいものんだったのだが、杏にしてみればそーゆー問題でもなかったのだろう。
 まぁ気持ちは解らんでもないが、その一瞬を古河の方は見逃さずに杏の腕から逃れてすばやい動作で俺の後ろに隠れた。
 とりあえず、いまだ上半身が下着一枚と言う俺にとってデンジャーな状態だったので、古河の方を見ないようにして俺の上着を手早く着せる。
 この姿はこの姿でマニアックな気がして古河の方をまともに見れない。いや、ね、うん。確かにさ、観たいけどさ。観たいけどさ。
 一方の古河の方はと言えば、

「えへへ、岡崎さんの匂いがします」
 といって、俺のブレザーの匂いをかいでいた。ぐあっ、何かテレるっ、物凄くテレるぞっ!!
 思わずしゃがみこんでしまった俺を、どうやら心配してくれたのだろう、古河が中腰になって「大丈夫ですか?」と呼びかけてきた。
 んがっ、それが美味かった、じゃない、不味かった。ブレザーの隙間から下着がちらりと覗けてる。なんていうか……逆にえっちだ。
 くぅををををををっ、このままでは鼻血が出る。

 こんな状況をどうやらゲラゲラと笑って傍観していたらしい杏が、ここへきてようやっと助け舟を出してきやがった。

「部長、部長、そろそろ着替えたら? いつまでもそのカッコのままじゃご主人様にも悪いでしょ?」
「そうでした、ええーっとぉ……」
「ああ、俺と杏が出るよ、着替え終わったら呼んでくれ。」
「何であたしまで出なきゃいけないのよ」
「あのなぁ、さっきの今で古河がお前と二人っきりで安心して着替えられると思うか?」
「出来るわよ。だってあたし優しいから。なんならあんたが残って部長のセミヌード拝む?」
「それこそ出来るかバカやろうっ、おまけに自称かよっ。ああ、もうっ、頭痛くなってくる。兎に角、出るぞ」
「ハイハイ。それじゃあ渚、着替え終わったら呼んでね?」
「ハイ。」

 それだけ伝えると俺と今日は教室から出ようとドアに手をかけると、古河に呼び止められた。

「あのっ、ご主人様」
「あん、どうした?」
「ありがとうございました」
「? おう、どういたしまして?」

 なにに対しての礼だったかよく解らなかったので、疑問系になってしまったがそれだけ返事して、今度こそ、部室を出た。



「で、さっきの俺のあの悲惨な状況を手助けしなかったのは、叩いた礼だという風に解釈するとして、あの古河に対してのセクハラはいったいなんだったんだ?
 助けを求めていたとはいえあの古河だ、本当にいやなことに対してはちゃんと拒否をするはずだ。」

 隣の部屋に移った俺は、早速杏に状況の説明を求めた。あの状況がいったいなんだったのか、サッパリ解らん。

「秘密の花園よ。別名百合の館」
「あほかっ、それならそれで、古河があんな反応するかよ」
「さっすがご主人様、あたしたちのことを良く観てらっしゃる」
「茶化すなよ」
「茶化してはないわよ。ことみのこともそうだけど、あたしたちのこと良く観てるなぁとは思うわよ」
「当たり前だろ、ダチなんだから」
「ま、あんたの立場からしたらそうなるでしょうから、そういうことにしといてあげるわ」
「釈然としねぇなぁ。それで、話を戻すが、あのセクハラもどきはなんだったんだ?」
「だから言ったでしょ、アレはセクハラとかそういうのとは別問題なのよ」
「んじゃどーゆー問題なんだよ?」
「それはね……」

 といって杏は語りだした。


 それは今日の放課後のことだったわ。今日も今日とて一番乗りだったあたしはさっさと着替えてみんなを待ってたのよ。

「委員長のはずのお前がいつも一番乗りでいいのか?」
「いいでしょ、別に毎日一番乗りしたって。人の話はちゃんと最後まで聴く」
「ああ、もう、悪かったよ、さっさと話を進めてくれ」
「投げやりな物言いがムカつくけど、勘弁してあげるわ」

 でまぁぼぉーっとしてたら部長が来たわけよ。いつもどおり挨拶して、渚が着替えてるのを見て、思ったのよね。

「渚って……胸小さいわよね」
「杏ちゃんも人のこといえませんっ!!」
「うっ、うっさいわねぇっ。そういえば、春の身体測定のときサイズ測ったでしょ、いくつだった?」
「言わなきゃダメですか?」
「あたしもちゃんと教えるからさ」
「解りました。でも、誰にもナイショですよ」
「解ってるから、で、いくつ?」
「は……80です」
「よしっ、2cm勝った」
「杏ちゃんは78ですか?」
「小さくなってるじゃないのよっ、逆よ逆。」
「82ですか」
「そゆこと。……はぁ、不毛だわ。」
「そうですね。椋ちゃんとかことみちゃんて、いくつなんでしょうか」
「二人とも大きいもんねぇ。ああそういえば、胸って揉むと大きくなるってホントかしらね?」
「そうなんですか?」
「そうらしいわよ。いっちょやってみる?」
「やってみましょうっ、頑張って杏ちゃんの胸、大きくします」
「ほほほほほっ、渚さん。あたしとあなたで胸が小さいのは、どちらだったかしらね?」
「私ですね……アレ? もしかして……」
「もしかしなくてもその通りよ。うぇひぇっひぇっひぇっひぇっひぇっ」
「……あのっ、あのっ、その……お手柔らかにです……」
「任せなさい。うぇひぇっひぇっひぇっひぇっひぇっ」



「……と、言うわけよ」
「なーにがと、言うわけよ、だ。あほかっ」

 ことの顛末を語り終わった杏は至ってシリアスな顔をしていたが、俺に言えるのはその一言くらいだった。
 おまけに、謀らずとも古河のサイズを知ってしまった。秘密って話だったらしいのにな。古河、スマン。
 その上なにが「うぇひぇっひぇっひぇっひぇっひぇっ」だっつーのっ、古河が不憫だ。それにしてもこのメイド長、アホだな。

「アホとはなによっ、アホとはっ」
「アホとはアホに決まってるだろう」
「そういう問題じゃないでしょうが、大体ご主人様はデリカシーがないのよ。いくらことみの胸が大きいからって」
「それは関係ないだろうがよっ」
「大有りよ。胸のサイズ云々でそういう話になったんだから」

 と、杏との口論が激化しようかというところで、ドアがノックされる音が聞こえた。
 ああそうだった、古河が着替え終わったら呼んでくれるって言う話だったな。
 杏がドアを開ける様子がなかったから俺が開けることにする。

 がらがらーっ
「着替え終わりました。お待たせしてスイマセン」
「…………」
「……? ご主人様?」
「…………」

 絶句。

「どうかしましたか?」
「古河、その頭についてるのは……何?」
「えっ、あっ、あの、そのっ、これは……」顔を真っ赤にしてうつむく古河。
「猫耳よ、可愛いでしょ? ほらほら見てみて、尻尾もあんのよ」

 さも当然と言わんばかりに杏が言った。
 尻尾には鈴もついていてチリンと鳴っている。ご丁寧にリボンまで付けてある。
 なにこの無駄に似合う具合。すっげぇ可愛い。まともな理性がぶっ飛んでいきそうで怖い。

「似合いませんか?」と不安そうに上目遣いで覗いてくる古川にある種の戦慄を覚える。カワイイ……
 ヤバイッ、マジもんで子猫っぽいなこいつ。ああああああああ、理性飛んじゃうよ? ロケットダイヴで飛んじゃうぜ? レディ? 3、2、1、……イヤイヤ、行くな行くな。理性、戻って来い戻って来い。
 ことみことみことみことみことみことみ…………、よし、理性戻ってきた。
 まだちょっとまともに見る自信がないので視界の端に古河を留めてかろうじて返事する。

「まぁ可愛いけどさ。どーしたこれ? 何事?」
「ん〜、部室で色々物色してたらね、見つけたのよ。後ウサ耳も在ったんだけどさぁ、まぁ渚に付けるんだったら猫耳かな、と言うことで、付けてみました。かっこはぁと」
「かっこはぁと、じゃねぇよ」
「ちなみにネコミミとウサミミ、それぞれ2つづつあったから今度からあたしと渚がネコミミ着けて、ことみと椋がウサミミ着けるから、期待しててね」
「いや期待しろと言われても……」

 何を期待すればいいのかわかんねぇし。それ以前にネコミミとウサミミを使った演劇っていったいなんだ?
 不思議の国のアリス? アレだったら猫も出ればウサギも出るぞ。って、関係ない?
 そんなくだらない話をしていると、なにやらさっきから古河の様子がおかしい。

「? 古河?」
「えへへ、ご主人様にカワイイって言ってもらえました」
「よかったわね、渚」
「ハイッ」

 嬉しそうな顔をしている古河をみるともっとまじめに言ってやればよかったかなと思うが、二度言うのはこっぱずかしいので言わない。
 代わりに古河の頭に手を載せてクシャクシャと撫でることにする。これで勘弁してくれ。
 手を離すと古河は少し名残惜しそうだったが、自分の頭に手を載せるとまた「えへへ」と笑っていた。
 尻尾の鈴も嬉しそうに鳴っていた。



 シリアスに話が終わろうとしてるけど、このメイド服と、古河に付いたネコミミと尻尾は何とかならん?

「喜びなさい。渚は以後これがデフォルトよ。今度あたしもネコミミ付ーけよっと」

 ならないらしいです。っていうか事態はより悪化するようです。誰か助けて……








おわり







---あとがき---
 ネコミミ着けて、渚に頑張らせてみました。渚活躍してる? してる? 頑張ってる方向が違う気がするのはこの際置いといて。ね?
 ボタンが出てこない。んじゃ次回。
 ポジション的に行くと、杏はハルヒよりもアプロであって欲しいなぁと思うわけですが、杏の土台がツッコミと言う時点で無理だということに気がつきました。
 まぁ、ハルヒでもアプロでもなく杏は杏なんだけどさ。もう一回ことみシナリオでもやり直してみようかしらね?

 今回、無駄かつ微妙にエロイです。……なんでこんなに無駄かつ微妙にエロイんだろう? 私の中で渚は微エロキャラか? それとも杏が無駄に親父クサイだけか?
 まぁどっちでもいいか。

 (05/10/18)

 P.S.感想なんかをmailformBBSにいただけると、嬉しいです。是非……おひとつ……

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