満月衛星。
ss
- 春の通学路で……
『春の通学路で……』
春、桜の舞う季節。冬には木々に雪が彩りを添えるが、今の季節は桜の花が春と言う季節を満喫している。
そして、その通い慣れた通学路を相沢祐一と水瀬名雪はほてほてまったりしながら歩いていた。
「はぁ〜、のんびり登校できることのなんと幸福なことか。いつもは誰かさんのおかげで走りっぱなしだかんなぁ。なぁ、名雪」
祐一は『ふぁ〜』というだらしない欠伸をしながら、横を歩くいつも通り眠そうな顔をしながら歩いている名雪に向けた。
「うぅ〜、それじゃあまるで私が悪いみたいだよ」
「まるでどころか原因そのものだろ?明日こそは歩いていこうって言い始めて今日で何日目だ?」
「まだ一週間しかたってないよ」
「一週間『も』の間違いだろ!『も』の!春眠暁を覚えずって言葉をまんま実行しやがってからに。ちょっとは早く起きる努力をしてくれ」
「でも今日はちゃんと起きれたよ」
そうなのだ。何時も何時もギリギリの時間を走って登校することにいい加減疲れた祐一が、『明日こそは早く行くぞっ!』と言い出したのはつい一週間前のこと。
それからというもの毎日毎日早く行こうとしては結局ギリギリになるという日々が続くこと六日間。祐一はようやっとして朝早くに起きて名雪を起こすことに成功した。家を早くに出たときの感動はひとしおだった。
そんな祐一を見て『大げさだよ』と名雪はタメ息をつきながら言ったが、実際のところ、名雪としてもこうやってのんびりと祐一と通学できるのはちょっぴり……いや、とっても嬉しかった。
早起きはして見るもんだねぇ〜と他人事みたいに思っており辺りに、明日から早起きできる保証が全くなかったが。
「そのために俺がダイナミックに早起きする羽目になったけどな」
「だって、祐一前にちゃんと言ったよ?『毎日俺が起こしてやる』って。」
「ぐぬぬぬぬ……」
全く持ってその通りなので祐一は言葉に詰まる。
「そうですねっ!」
結局、祐一はそれだけ言うとそっぽを向いてずんぐずんぐと前に行ってしまった。
「わわわっ、待ってよぉ〜祐一ぃ〜」
とてとてと早足で追いついてみるが、祐一は相変わらずそっぽ向いてしまっている。
「祐一、怒った?」
「そうですねっ!」
「キゲン直してよぉ〜」
「そうですねっ!」
「うう〜、祐一ぃ〜」
「そうですねっ!」
「……私のこと、嫌い?」
「好きだぞ」
「…………」
「…………」
ビックリして祐一を見てみると、祐一の顔がほんのりと紅い。
言った本人としてはとてつもなく恥ずかしいことだったのだろう。なにか嬉しい。思わず笑みがこぼれてしまう。
「えへへ〜」
「な、何だよ、気持ち悪いな」
「気持ち悪いって……ひどいよ祐一。でも……」
相変わらず顔の赤い祐一に『えいっ』と気合を入れて飛びついた名雪は祐一の耳元で嬉しそうに囁いた。
「私も、大好きだよ」
耳まで真っ赤にした祐一は『おうっ』とだけ返事をして学校の近くなった道を後ろに名雪をくっつけながら歩いていった。
それは、桜の舞う暖かい季節の話。
おわり
---あとがき---
随分前に某方にオフラインで差し上げたものだったのですが、それをアップして見ることにしました。
某方ごめんなさい。基本的に差し上げたものに関して、私は著作権を放棄してその方に譲るタイプです。
好きにしてちょうだいっていう感じでございます。
話し自体は恐ろしく短いものですが、何気に気に入っています。
こんな短い、それの上なんでもない話しがたまにはあってもいいと思いませんか?
それではそれでは、ここまで読んでくださった方々に沢山の感謝を込めつつ、今回はこの辺で。ではまた〜
(05/05/17)
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