無限の零 其の8



<そ〜れから……>
ひとしきり料理が作り終わるとみんなに混じってジョートもいっしょになって騒ぎ始めた。
珠呂やれキャルやれパティやれをからかい、由羅とアレフを巻き込んで酒の飲み比べをしたり、トリーシャや咲耶と街の噂に尾ひれ背びれをつけたり…。

そんなことをして場を盛り上げていたジョートだったが、場が自分を必要とせずとも盛り上がってくると、独りひっそりと縁側へと出て行った。
暫くは一緒になって盛り上がっていた更紗だったが、フとジョートが居なくなった事に気がつくと、彼女もまたひっそりと部屋を抜け出してジョートを探した。

「ジョート。」

家の縁側で更紗は寝っ転がっている彼を見つけると名前を呼んだ。人様の家で勝手に寝っ転がっているんだから、図太い神経をしているもんである。
呼ばれたジョートはといえば少々青い顔を持ち上げて声の主を見やる。そして、声の主が更紗だと判ると『更紗か…』と一言呟いて体を起こした。

「大丈夫?」
「結構大丈夫じゃない。」
「知ってる人ばっかりでも、たくさん人が居るのはだめ?」
「!!………そうか…やっぱり解っちゃうか。そりゃそうだわな。こんだけ一緒に居りゃあ…」

的をついた質問にジョートは初めはビックリしていたが、少し考えて合点が行く。そして更紗が隣に座ると言葉を続ける

「まあね、やっぱり人が多い所に居るのはダメだね。人間酔いを起こす。テンション高い時は何とか乗り切れるんだけどね…こぉ〜…テンションが下がり始めちゃうともうだめだね。」
「そこまで無理しなくても…」
「いいよね、俺もそう思う。…でも、なんかやっちゃうんだわ。人数少ないときにテンション騰がり始めて人数増えるじゃん?で、フと素に戻って一気に気持ち悪くなる訳さ。」
「そんなものなの?」
「人によるんじゃない?ま、少なくとも俺のバヤイはそうね。」

ジョートはテンション低くゆったりと語っている。顔色は先ほどよりは幾分よくはなってはいるが、まだ少々青い。
そんなジョートを見ながら更紗は心配そうに更紗は

「ねぇ…」
「ん?」
「あたしってそんなに頼りない?」
「え?」
「ジョート、あたし頼りないかもしれないけど…それでもがんばってジョートを支えるから…ジョートお願い、もっとあたしを頼って。」

ビックリした。思ってもみなかった事を更紗に言われた…頼る?…人に?俺が?頼る?どうやって?
ジョートはこれまで旅をしていた人間だ。もちろん旅先で出会った人間と共同で何かをしたり共に行動をすることはあった。
だが、そういう時は大概自分のしなくてはならない事と言うのは決まっていて、それだけを確実にやれば言いだけの話で、その他自分の事はほとんどを自分でやってきた。
頼られた事は多々ある。ただ、人に頼ろうと考えた事は、旅に出てからはなかった。そんな自分に頼れと彼女は言う。

どういっていいか解らずに頭がパニくっているジョートを更紗はゆっくりと包み込んだ。

「もっと…あたしに甘えていいから…」

更紗に抱きしめられてジョートのパニくっていた頭は徐々に冷静さを取り戻し、やがて安心感を覚えた。
自分が抱きしめる事は多かったが、更紗の方から抱きしめてくれたのは初めてではなかろうか。
「(ああそうか…もっと力を抜いていいんだ…更紗が居てくれる……)」
確かな安心感と温もり…ジョートはゆっくりと目を閉じて更紗に身をゆだねた。

<一方……>

「いいなぁ…ボクもあんなふうに支えあっていける彼氏が欲しいなぁ…」
「ジョート君…なかなかやるわね。」
「あ〜あ…せっかく更紗はまだいけるかなぁ…とか考えてたのに、こりゃだめか。」
「いや、狙うなよ。」

こちらは少々離れたところから二人の様子を覗くデバガメ軍団。目下アリサを除いた居間に居た連中は全員いたりする。
更紗とジョートが居なくなった事に気が付いた途端に全員でデバガメに走り出すんだから、たいした連中である。
もっとも、始めはいい雰囲気になりかけたところで全員で驚かせてやる予定だったのだが、2人の雰囲気がなんとなくそれを許してくれなくて、覗くだけに終わってしまった。

暫く覗いていると二人の方から声が聞こえてきた

「じゃ、そろそろ戻ろっか。」
「うん」

この言葉を聞いてデバガメーズは大慌てで居間へと戻る。勿論そのドタバタとした音が2人に聞こえない筈がなく2人はビックリ。
ジョートの方は何時も通り特に動じた風ではなく、更紗はやっぱり顔が赤くなってしまった。自分がやった事が大胆だったような気がして、である。
そんな様子を見ながらジョーとは更紗の頭をポンポンと優しくたたき

「堂々としてな。更紗のおかげで俺は楽になれたんだから。」
「うん。」
「更紗………アリガト。」

と乾いた感じの抜けた笑顔で更紗に言った。その笑顔を見ると更紗は嬉しくなって『うんっ!』とこちらも溢れんばかりの笑顔で返事をした。

居間に戻ったジョートのそれまでとは少し違った雰囲気に、そこにきていた一同は驚きの色を隠せなかったそうだ。




あとがき
………終わった………ようやっとですよ。何週間かけてるんだってな話でさぁな。
兎にも角にも読んでくださった皆様、ご苦労様でした。んでもってアリガトござんす。

っつーかあれですわ、ジョートが酒飲んで宴会やらかす度にぶっ倒れてるの見て人間酔いだって気が付いた人ってどれくらい居るんでしょうかね?
1人居るか居ないかの所でさじ加減してみたつもりなんスけど…ま、いいや。
居たら教えたください。

あとがき長いのもウザいんで今回はこの辺で。
じゃ、

SPECIAL THANX
飼い猫様、鷹鷲様…毎回感想アリガトございます。
GARGOYLE、guniw tools…曲、パチくらせて頂きました。
読んでくださった皆様方…アリガトございます、感謝です。





SS置き場

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送