無限の零 其の4



<そ〜れから……>
ローラが大暴走をかまして店を出ていった後、事態は取り敢えず収まった。正確に言うと、ジョートが強引に収めてしまったという方が正しい。
そんな訳で、今ビセットとシェール、トリーシャの前には飲み物&パフェがあったりする。

「…おまえ等、そんなに食ってっとデブるぞ。」
「ダイジョーブ、ダイジョーブ。良くゆうでしょ?ご飯とデザートは別腹だって。」
「そーそー、それに俺達は普段からちゃんと運動してるしな。」

ジョートの茶々にホクホク顔でビセットとトリーシャは答える。
そしてグラスいっぱいに盛られた『サクラ亭スペシャルパフェ』を口に入れてパクリ。見事な食いっぷりだ。
一方のジョートは、財布の中が冷たくなったのを心で感じながら‘必要経費、必要経費…’と心で呟く。
また、シェールはと言えば‘なぁ〜んかフに落ちないわ…’と呟いてはいたが、奢りと言う言葉の響きには適う筈もなくやっぱりパフェをパクついていた。

因みに席はカウンター席にジョート、更紗、トリーシャ、シェール、ビセットの順で並んでいる。
パフェを奥から持ってくる際にジョートが更紗の席をトリーシャ達に近づけさせたのだ。
これで更紗が話しからはぐれる事もないし、自分からも逃げられ難くなる。まさに一石二鳥。こう言う事にだけは頭の良く回る人間である。

そして、最近あった学校での話しを更紗も交えて喋り始める。ビセットが起こした珍事件や、バーシアの授業の手抜きっぷり、シェールやトリーシャが聴いたクラスメイト達のオモシロ話…こう言う会話は何時でも何処でも花が咲く。

暫く聞き手にまわっていた更紗とジョートだったが、ジョートが不意に一言溢した。

「ふ〜ん…学校ってそんなに楽しいもんか?」
「まあ…楽しい事ばっかりじゃないけどね。友達とかもいるし。」
「それにほら、学生の時だけじゃん、遊べるのってさ。働き始めたら遊びどころじゃなくなるし。」
「ナルホドねぇ…」

トリーシャとビセットの会話を聴いて納得するジョート。しかし納得はしているものの、いまいちフに落ちてはいない様だ。
それに気付いてか今度はシェールがジョートに疑問を投げかけた。

「そー言えば、アンタはどうだったの?」
「え?俺!?」
「そ、アンタにだって学生時代はあったんでしょ?」

シェールに問い詰められたジョートには明らかに動揺を隠しきれない色があった。
『えっと〜えっと〜…』としどろもどろに答え様としないジョートに4人は焦れたが

「あ、そうそう、俺の地元、学校みたいなのがなかったんだっけ!あぁそうそう、無かった無かった。うち、めっちゃド田舎でさぁ〜学校もへったくれも無く、家の仕事手伝わさせられてたんだよね〜。だから、学校なんか行った事も無い!」
「そうなの?」
「そうそう、そーともさっ!!」
「なぁ〜んか怪しいわね。」
「気にすんなよ!!気にしだしたら人生楽しくなんか無いぞ、ウン。きっと楽しくない!!!」

またも強引に話を打ち来たジョートは『あっはは〜ん』と小躍りをしながら厨房へ乗り込んで行き『オヤジッ!ラーメン一杯!!』『厨房で騒ぐなぁ!!』『イヤァ〜ン』パティの親父さんとどつき漫才をかましていた。

「なんだかな…」

これはその時一同が溢した素直な感想。

暫くしてジョートが奥からラーメンを持って戻ってくると、4人は相変わらず学校話に花を咲かせていた。
途中から入ろうとしても話に混じる事が出来る訳も無く、ジョートは1人ポツーンとしながら、割り箸の上半分を口で咥えて下半分を手で持ち『バキッ』と器用に箸を二つに割って『ズー、ズー』と音を立ててラーメンを啜り始めた。

相変わらず会話のほうは盛り上がっているようだ。ジョートは楽しそうに笑っている更紗を見ながら(←更紗しか見てないジョート/笑)ラーメンを啜る。
ラーメンが半分ほど減った頃、おもむろにシェールが言った言葉がジョートの耳に飛び込んできた。

「そう言えば更紗って、普通だったら学校に行ってる年齢なんだよね。」
「ああ、そう言えばそうか。」

と、これはビセット。それに呼応する様にトリーシャも気がついた事を聴く。

「更紗は学校行こうとかって言うのは考えなかったの?」
「うん。」
「どうしてさ?」
「ジョートショップ手伝ってたから。」

トリーシャの疑問にキッパリと答える更紗。一同は『ナルホド』と思わず納得。
だが、それを聴いたビセットは名案を思いついたと言わんがばかりに席を立っった。

「そうだ更紗、学校行かない?」
「えっ?学校に?」
「そ、学校に」
「ビセットくん、ナイスアイディア!」
「それいいよ、ボクも賛成!」
「行ってもいいの?」

不安げに言う更紗だが、その声にはどこか期待の色が見える。その不安を掻き消すように3人は励ます。

「ダイジョーブだってっ!!更紗に行きたいって言う気持ちがあれば全然おっけぇ〜だよ!」
「そーそー」
「ジョートはどう思う?」
「俺?俺は……そうだな………」

ジョートがその言葉の続きを言うには少し間があった。その間にジョートの雰囲気が少し暗くなった事に気が付いた人間はいただろうか……

「俺は反対だな!」

腕を組んでプイッと顔を背けて、ずんぶんむくれるジョート。

「どーしてよっ!!」
「だって、そんな事したら更紗と合う時間が減っちゃうじゃないかっ!!」

ズルッ……
コケタ。

「そんな下らない理由のために……?」
「下らないとは失礼なっ!!更紗に逢えないって言うのは俺にとって死活問題なんだぞっ!!」
「あのねぇ…」

子供のような駄々をこねていたジョートだったが、急に真面目な顔になって、少々苦笑いを混ぜ頭を撫でながら言った。

「更紗は…行きたい?」
「うん、やってみたい。」
「そっか…じゃあ俺は反対できないな。今度は由羅を説得しな。」

パァ…っと明るい表情になった更紗と回り一同。4人一緒になってはしゃぐ姿を見ながらジョートはフと我に帰った。
「(………なんか俺…パパさんみたい…彼氏なのに………)」
そんな事を考えて、4人とは反対にジョートはプチへ込むのだった。

ただ…今までと違った更紗の笑顔が見られたっつー点じゃ、こう言うのもありかな。

そんな事を考えながら、4人を見守るのだった。

やっぱこいつパパさんだな………



あとがき
ちょっと長くなりました。すんません。
次か長くてもその次にゃあ終わります。
じゃ




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