祭り、後… その3



食事も終わって暫くするとジョートはアリサに向かって言った。

「更紗送ってきます。っつーか今日は俺、向こうに泊まって来ますわ。」
「ジョートクン、あなたも病人なんだから無理は止めて珠呂クンに頼んだら?」

アリサがそう言うとジョートは少々困ったような顔をしながら言った。

「そんな事しようもんなら俺、嫉妬に狂って大人しくしてるどころじゃなくなっちゃうって。だから送るだけ送って、多分俺もそこで力尽きちゃうからついでに由羅んチに泊まってきちゃうわ。」
「そう?それなら更紗ちゃんに泊まっていってもらった方が良いんじゃないかしら?」
「由羅の方は大丈夫かね?」
「それこそ珠呂クンに頼んだらいいんじゃなくて?」
「ナルホド、そりゃそうか。」

ポンッ、と手を叩いて納得したジョートは今度は更紗の方を向き訊ねる。

「で、更紗の方はどうする?泊まっていきたい?それとも帰りたい?どっちにしても俺が漏れなく付いて来るけど」
「あたしは…これ以上ここに迷惑かけたら悪いし、由羅にも余計な心配かけられないから、今日のところは帰る。」
「そうか…それじゃあ俺送ってくるわ。」
「そう、くれぐれも気をつけてね。」

『ダイジョーブ、ダイジョーブ』そう言ってジョートは更紗をつれて店を出た。

星空が見守る中、二人は別に何かを喋るわけでもなくトコトコ歩いていたが、不意にジョートが更紗に話し出した。

「さっき更紗聞いたよな。『なんでムリしたんだ!?』って」

不意の出来事だったため更紗は多少ビックリしたが、確かに聞きたかったことだったから『うん』と短く答えた。

「アレな、多分アリサにあてられたんじゃないかな…と思ってる。」
「?」
「なんちゅーか、正確にはこの街にあてられたっつー方が正しいかな?この街ってさ…なんか人を良くする雰囲気みたいなのがあるよな。それにあてられた気がする。」

ジョートは段々と誰に言うでもなく独り言のように淡々と喋り続けた。

「ホントは俺だって1週間で問答無用で2割引の依頼全部断って、またマイペースに行こうとしたんだけどさ…なぁ〜んかやってやりたくなっちゃったんだよね…街のやつらの為って言うか…」

そこまで言うとジョートはいったん話しを区切ってまた考え始めて考えがまとまるとまた話しを続けた。

「イヤ、もしかしたら俺がこいつらにしてやれる事はしてやりたい、みたいな自己満だったのかもしれない。自分の限界を試したかったのかもしれないし…嗚呼〜ヤベッ考えが纏まらんくなってきた。」

とうとう頭をボリボリ掻き始めてその場にしゃがみ込んでしまった。
それを見た更紗は何か急に申し訳なくなってしまって、ジョートの傍にしゃがみ込んでジョートの頭を撫でながら言った。

「ごめん…ジョート。」
「へっ?なんで更紗が謝るの?」
「だって…ジョート色々考えてやってたはずなのにあたし怒ってジョート責めた。」
「なぁ〜んだ、そのことか。それならそんなに気にしなくていいよ。俺は更紗が心配してくれて嬉しかったよ。」
「ホントに?」
「ああ、ホント。あ、でも謝ってくれるなら一応お詫びだけはもらっとこかな。」

そう言うとジョートは素早く更紗に顔を近づけて、自分の唇を更紗のそれに合わせた。
実際時間はそんなには長くなかっただろうが、更紗には随分長く感じた2人のキスの時間だった。
ゆっくりと唇を離すとジョートはすっくと立ち上がって『さっさと由羅んとこに帰りますか』と言って笑顔で更紗に手を貸した。
『うん』と言い更紗も笑顔になってジョートの手を取り二人は由羅の家へと向かったのだった………


次の日…
そのまま由羅の家に泊まったジョートはジョートショップへ帰ってくるなり、リビングに居た珠呂に、まるで蛇のように絡み付いて『珠〜呂ちゅわ〜〜〜〜〜ん』と舌をシュルシュル言わせながら言った。

「な…なんだよ気持ちわりぃ〜な…」

顔を青くしながら言う珠呂にジョートはさも嬉しそ〜〜〜な表情で尋問を始めた。

「昨日俺等が寝てるの見て顔を真っ赤にしたって話しだったけど、なぁ〜んでそんな風になっちゃったのかなぁ〜〜?」
「そ、そんな事別にどうだっていいだろっ!!」

どうやらその光景を思い出したらしく珠呂は再び顔を真っ赤にしてジョートを払いのけた。払われてしまったジョートはニヤリとして珠呂に尋ねた。

「もしかしてエッティな事でも想像しちゃった?」

まるで‘ボンッ’と言う音が聞えてきそうなくらいの勢いで珠呂の体が真っ赤になった。そしてジョートの胸倉を掴んで言った。

「ばばばばばばばばばば馬鹿ぁ〜そんな事、そ、そんな事考えるわけないだろぉ〜がっ!!!」
「あっらぁ〜珠呂クンてばわっかりやす〜い。」
「だからそんな事考えてないっつーのっ!!」
「わかったわかったって。」

『ホントに解ってんのかよ?』と言おうかどうか迷ったが、これ以上ジョートと喋ると何を言われるか解ったもんじゃないと感じた珠呂はあえて言わない事にした。
そして掴んだ胸倉を離したが、それが拙かった。まだ幾分赤い体を冷やすように『フンッ』と言ってキッチンに向かった。
自分が視界から外れた事を確認したジョートはドアの方へ‘するぅ〜り’と寄って珠呂に向かって

「珠呂君てば、エッチ。」

と大声で言った。珠呂は再び体中を真っ赤にして『ジョォ〜トォ〜〜〜』と叫んでジョートをぶん殴ろうとしたが時既に遅し、だった。
ジョートはバッチリ店の外へと逃げていた。

その後ジョートはあまり完治していなかった体で遊び過ぎたため、完全に風邪を引き3日ほどベッドでウンウン唸る羽目になったそうだ。




<あとがき>
今回も中途半端に長くなったため適度にぶった切ってみました。如何だったでしょう?
ちょっと更紗が違うような気もしますが、更紗がこんなリアクションしたらさぞかし嬉かろ〜なぁ〜などとアホな事考えて創ってました。
ま、なにはともあれ読んだあなたが気に入ってくださればこれ幸いな訳で御座いますよ。私は。
じゃ、




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