祭り、後… その2



夜になってようやっとジョートは目を覚ました。

「な〜んか、妙に寝心地がイイと言うか抱き心地がイイと言うか…って、うをっ!さ、更紗!?どーして俺のベッドで寝てるって言うか俺と寝てるって言うか……なんでぇ〜!?」

プチ混乱してるジョートを尻目に相変わらずカワイイ寝顔で寝ている更紗はジョートから開放されてしまった為か無意識にジョートの手を掴んで『ジョート…』と寝言を零した。
ジョートはその行動と言葉を聴いて、居ても経ってもいられなくなり思わず『更紗ぁ!!』と言って抱きしめた。

「ん???ジョート?もう大丈夫なの?」

ジョートに抱きしめられた結果目を覚ました更紗がジョートを心配した。一応彼は過労でぶっ倒れていた人である。更紗が心配するのもムリはなかった。

「あん?……そう言えば朝起きてからの記憶が断片的にしかないなぁ……もしかして……俺になんかあった?」
「ジョートね、過労で倒れちゃったんだよ。」
「マ〜ジっすか!?」
「マジッス」
「そう言われてみれば体のあちこちがだるいと言うか疲れが抜けないと言うか……ありゃまぁ…倒れちゃったですか、俺。」
「倒れちゃったですよ、ジョートさん」
「そんな他人行儀な言い方しないでよぉ〜更紗ぁ〜」

涙を流しながら言うジョートを見て更紗は思わず『クス』っと笑っていたが、すぐに真面目な表情になって言った。

「どうしてこんな過労になるまで無茶したの!?あたし心配したんだよ!?」
「………そうか…ごめんな、更紗。」
「ねぇ、どうして?」
「そうだな…でもまずは………」

そこまで言うと間を持たせたジョートは、急におちゃらけた表情になって言った。

「飯にしねぇ?」
「へ?」
「イヤさぁ、俺考えてみればどうやら朝っからなんも食ってないみたいじゃん?その所為かどーやら今そーとー腹減ってんだわ。だからまずは飯にしねぇ?」

ぐぅ――――――・・・・・・・・・………
ジョートに言われて自分も朝を食べてから何も食べていない事に気が付いた所為だろうか更紗のお腹が思わずなってしまった。
その音を聞いたジョートは「プッ!」と笑い出したかと思うと押さえる事もせずに豪快に笑い出した。

「ゲラゲラゲラ………」
「もうっ!!何もそんなに笑わなくてもイイじゃないっ!!」

顔を真っ赤にして目に軽く涙をためて更紗が怒った。そんな表情を見てジョートは『わるいわるい』と言って話しを続けた。

「ま、更紗さんのお腹も賛成してくれている事ですし…」
「ジョートっ!!」
「おーおー、更紗が珍しく怒ってる。わるかったって。そんなに怒りなさんな。」

相変わらずおちゃらけた顔で言うもんだから、説得力ははっきり言ってない。『ホントに悪いと思ってる?』と更紗が聞くと

「さて、どうだろう?」

と、にやけた面でジョートが言った。
それを聞いた更紗はジョートの部屋に有った花瓶を持ち出して‘プルプルプルプル…’言いながらジョートに向かって投げようとした。
‘ヤッヴァイ’と感じたジョートは冷や汗を撒き散らしながら大慌てで『ノォ〜』と言った風に手を顔の前で振りながら謝罪した。

「ジョーダン!ジョーダンだって!!思っちょりますっ!!!マ〜ジで悪いと思っちょりますですっ!!ハイ!!!スンマセンでしたっ!更紗さんっ!!!」
「もうっ!冗談は止めてよね。」
「わるかったって、ホントに。」

持っていた花瓶を降ろした更紗を見て安心したジョートはホッとして胸を撫で下ろすと、今度はニカッと笑って更紗に言った。

「それじゃあさっさと飯を食いますか。」
「うん」

更紗が笑顔で頷くと、ジョートは『怒った烏がもう笑った』と言おうとしたが、喉まで出掛かって止めた。
更紗は『(また何か言おうとした)』と当りをつけたが『(言わなかったから許してあげる)』と思い、二人はそっと手を繋いで下に下りて行った。


2人が下に下りるとリビングは食後だったらしく、食後のコーヒーを飲んでいた珠呂達が居た。

「あら、2人とも起きたのね。2人ともお腹空いてるでしょ?ちょっと待ってね、今お皿に盛って来るから。」
「アリサごめんねぇ〜。」

キッチンの方へ向かって行ったアリサにワビを入れつつ、ジョートはさっきっからモジモジしている珠呂の方を見た。

「あ〜…ああ〜〜〜〜…よう…」

何故か顔を紅くしながらなんと言っていいか困ったらしい珠呂が、とりあえず声をかけた。

「どーした珠呂ちゃん?お顔が真っ赤でちゅよぉ〜?」
「えっ!?い、いや…あの…その…なんだ…ええっと〜…」
「あんだよハッキリしねぇなぁ。なんかあったのかテディ?」

イマイチ反応が面白くない珠呂を見ながらジョーとはテディ訊ねた。

「さっきご飯が出来た時にジョートさんの部屋に言ったッスよ。そしたら2人が仲良く寝てたッス。」
「で、なぁ〜んでたかがそれだけの事で珠呂が真っ赤っかになちゃってる訳?」
「ば、バカテディそんなにぺらぺら喋るなっつーのっ!」

ぺらぺら喋るテディの口をふさごうとした珠呂だったが1歩遅く、ジョートがテディをふん捕まえて頭の上に乗せていた。

「テディ、珠呂っち無視してジャンジャン喋っとけ。」
「ういッス。2人の寝顔、す〜んごく可愛かったッスよ。見てるこっちがテレてきたッス。」
「おいっ!無視すんなっつーの!」

相変わらず二人は珠呂を無視し、テディはその時の状況を事細かに説明した。
寝顔を見られたと聞いてジョートの方は別段気にしてはいなかったようだが、更紗の方は恥ずかしさで顔を紅くしてしまった。
ジョートの寝顔を見たり寝顔を見られたりと言うのはよくあったが、珠呂やテディにはあまり見られたことが無い為恥ずかしくなってしまったのだ。
ジョートは顔が赤くなった更紗の元に寄って更紗を椅子に座らせた。
そして自分はキッチンの方へ行きアリサを手伝い、皿に盛られた夕飯の数々を持っていた。

「ハイ。更紗。俺が作った訳じゃないからこんな事言えた義理じゃないけど、たんと食べてね。」
「そうッス。ジョートさんが言えた義理じゃないッス。でもご主人様の料理はホントに美味いッスよ、更紗さんも沢山食べて欲しいッス!」
「ジョートは?」
「ん、俺?俺もちゃんと食うよ。でもその前にアリサ手伝ってあげないとね。少なくても自分で出来る事は自分でしなきゃマズイっしょ?」
「じゃああたしも…」
「えっ!?更紗は少なくとも今はここに来てくれたお客さんだから、お客さんに手伝わせちゃあマズイよ。」
「でも、ジョートも今は病人の身だよ?病人にこんな事させちゃマズイよ!?」
「いや…まあそうだけど…」

『病人』と言う言葉を聴いて珠呂がビックリして二人に言った。

「ちょ〜〜っと待った。追いジョート、おまえが『病人』ってどう言う事だ?」
「ああそうか、珠呂達は知らなかったんだっけか。なんかどーやら俺昼前頃に起きてから過労で倒れたらしいんよ。」
「イイッ!?マジでか!!?」
「マジもマジ、大マジよ。って言うか俺も更紗から聞いたんだけどね。」

まるで他人事のように言うジョートに更紗が突っ込んだ。

「そんな他人事みたいに言わなくても…」
「そうッスよ、更紗さんの言う通りッス。他人事じゃないッスよ!?」
「だって…起きたら俺何故かベッドにいるし隣じゃ更紗が寝てたし、このままじゃマズイなぁ〜と思って更紗ベッドで寝かせたら、俺ベッドで寝ちゃマズイと思って床で寝てたと思ったら、次目覚めたら何故か更紗抱いてベッドで寝てるしさ…ほとんど今日の記憶ないのよ、俺。」
「じゃあ気付かないうちに2人でベッドで寝てたッスか?…呆れたッス…」

テディに呆れられちゃあおしまいだと言う風にジョートはため息をついた。そんなジョートを見て珠呂も軽くため息をついてジョートに向かって言った。

「じゃあおまえも座ってろ。」
「なんでよ?」

聞き返すジョートに珠呂はジョートに諭すように言う。

「おまえが座っておとなしくしてれば更紗もおとなしく座ってるだろ?」
「そう言う問題か?」
「そう言う問題だよ。だから二人してちゃんと座ってること。お客様も病人もおとなしく座ってなさい。解った?」
「「ハイ…」」

ジョートと更紗は声をユニゾンさせて大人しく返事をした。






あとがき

ええ〜っと…ハイ。まだ続きます
どぞ、ずずい〜っと




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