Happy−go−Lucky



がっしゃ〜〜〜〜〜〜んっ!!………

食器の割れる音がリビングに響き渡った。割ったのは勿論……

「ふええええ〜…ごめんなさいですぅ〜!!(><;;」

ティセだ。いつもの事ではあるが毎日こうでは食器がいくつあっても足りない。
そんな訳でその日の夜のミーティングでご主人様である所のルシードにとばっちりが来たのだった。

「ルシードさん、明日ティセさんと一緒に食器を買ってきてくださいね。」
「おいっ、なんで俺まで…」
「ティセさん一人で食器が運べる訳無いでしょ。それに運んでる最中にまた転んだりしたらそれこそ大変だわ。」
「それは……」

メルフィにこう言われてはルシードも言葉に詰まる。正にその通り。
ティセ一人に食器を運ばせるわけにも行かないし、転んだりしたら食器が割れることは勿論、ティセまで怪我をする可能性もある。
そんな訳でルシードには渋々ながらも了解しざるを得なかった。

「いいなぁルシード、一人だけ訓練サボって買い物なんて…」
「そんなに羨ましいなら変わってやるよ。」

ルシードは少々ウンザリしながらビセットに言ったが、ビセットの方は『遠慮しとくよ』と言って丁重に断ってしまった。
すると今度はゼファーが『ルシード』と声を掛けてきた。ルシードの方は相変わらず不機嫌そうに返事をした。

「あんだよ。」
「明日は『週刊盆栽フリーク』が発売されるんだ。」
「で、」
「買って来てくれ。」
「なんでだよっ!」

声を荒げるルシードに、ゼファーは相変わらずの落ち着き払ったポーカーフェイスで言う。

「俺は明日は本部に出す書類を書かねばならん。もっとも、明日買い物に行くと言うお前が、俺の変わりに書くと言うのであれば話しは別だが…」
「グッ……」

はっきり言ってルシードは書類仕事は大の苦手だ。出来る物ならそれこそ誰かに代わって欲しいくらいである。

(こいつ…俺が断れねぇと解ってて吹っかけてきやがったな…)
言い返せないルシードは怒りの四つ角を振りまきながら拳をプルプル言わせていた。そんな彼に今度はバーシアからお声がかかった。

「あ、じゃあアタシも切れかけのヤニ1カートン買っておいて。」
「なんでお前まで!!」
「あら、アンタ普段は『訓練サボるな』とか言うくせにこんな時だけ『自分で買って来い』なぁんて……言わないわよねぇ?」
「昼飯時があるだろがっ!」
「メンド臭い」

キッパリと言い放つバーシアにルシードは憤慨する。

「そんな理由があるかっ!!」
「良いじゃない別に。ど〜せ買い物のついででしょ。男がそんな事でグダグダ言うんじゃないの。」
「人事だと思いやがってぇ…」
「アラ、人事でしょ。それじゃあアタシはさっさと風呂にでも入ってこよぉ〜っと。」

『あ、こらっ、待ちやがれ!!』と言うルシードの台詞を無視してバーシアは自室へと戻ってしまった。
こうなって来るともう止められない。他のメンバーまでルシード立ちに次々と頼み物をし、それぞれに自分の行動へと移ってしまった。

「………………………………」

ただただ沈黙するしかなくなってしまったルシードはティセの方を見る。
ティセはと言うと昼間皿を割ったときの反省っぷりが嘘のよう、何故か楽しそうに『ごっしゅじんさっまと〜、おっかいもの〜う〜れしぃですぅ〜♪』と言う多分今考えついたであろう歌を歌いながらはしゃいでいた。
ルシードは軽く溜息をついた。そしてとりあえず………ダミー人形を八つ当りがてらに壊す事にした。


そして次の日…

「「行ってらっしゃぁ〜い(^^)/~~」」
「買い忘れたらもう一回行って来てもらうからねぇ〜」
「センパイもティセちゃんも、気をつけていって来てくださいね。」
「くれぐれも寄り道とかはしないで下さいよ、ルシードさん。」
「ばうっ」

外はすっきりとした青空の広がる晴天の空の下、ゼファーを除くメンバー(所長込み)に見送られて二人は事務所を出た。
ティセの方は『ハイ。言ってきまぁ〜す。』と元気よく返事をしていたが、ルシードの方は見送られる恥ずかしさで顔を赤くしながら『さっさと行くぞ』と言ってティセの手を引いた。
フローネとメルフィ意外の三人は明らかにルシードが嫌がると解っていてやっている。表情が明らかにニンマリとしてウレシそうだ。
二人が言ってしまうとルーティが言った。

「何もあんな仏頂面して歩かなくても良いのにねぇ。」

ルーティの言葉を聴いてバーシアは『「ルシードに愛想よくしろって言う方が無理だって。』と言うと、ビセットは『あ、それ言えてる。』とバーシアの意見に賛同した。
そんな風に、残ったメンバー達は言いたい放題言いながら事務所のなかに戻っていった。


一方ぼろくそに言われたルシードとティセと言えば、二人は早速ボジェーロ百貨店ヘ行き、安物食器を買いこむ。続いてメンバーから頼まれた物を買う。
粗方買い物が終わると二人は百貨店を後にした。もう昼時と言う事もあり、太陽が高い。太陽の眩しさに思わずルシードは目を細める。
ティセの方は終始はしゃぎっぱなしで、今も軽快なステップを踏みながら『ルンタッタ〜、ルンタッタ〜♪』唄いながら飛び回っていた。

「おいティセ!そんなにはしゃいでっとそのうち転ぶぞ。」

相変わらず終始仏頂面のルシードがティセに言うと、ティセはルシードの方を向いて手を振りながら答えた。

「だ〜いじょぶで……うわぁ!」

言った側から転ぶティセを見て『言わんこっちゃない…』と言いながらルシードはティセの側まで行き荷物を置いて手を貸す。
ティセは『えへヘ。』と言ってルシードの手を取る。ルシードはティセを立たせて埃を払うと昨日から気になっていたことを聴いて見る事にした。

「ティセ、随分と機嫌が良いな、なんかあったのか?」
「ハイ。ありましたぁ〜」

笑顔で答えたティセは続けた。

「今日こうしてご主人様とお出かけに出られてティセは嬉しいです。」
「それだけか?」
「ハイ。それだけですぅ〜。」

『?』である。たかだか自分と出かけるだけで、こうもティセは機嫌がよくなる物なのだろうか?
ルシードは理解しがたくついつい考え込んでしまったが、不意にティセは思い出したように言い出した。

「あ、後、今日は街の人達がなにか嬉しそうにしてました。ティセも皆さんを見ていたら嬉しくなってきます。」

ティセに言われてルシードは辺りを見まわす。確かに学校をサボってデートするカップルや、買い物をしている親子、仕事での馬鹿話でもしていると思しきサラリーマン…皆どこか笑顔で幸せそうだ。
………なんと言うか、ルシードは先ほどまで仏頂面をしていた自分が馬鹿らしくなってしまい思わず声をあげて笑ってしまった。

「ハハハハハハハハ!」
「ご主人様?どうしたですか?」

急に笑い出したルシードを見てティセはあたふたしながらルシードに声を掛けた。
ルシードは笑い過ぎで出てきた涙を拭いながら

「サンキューなティセ。」

と頭を撫でながら言った。ティセは暫く『??????』と‘?’マークを回りに撒き散らしていたがそのうちルシードが褒めてくれたのが嬉しくて『ハイですぅ〜』と元気よく返事をした。

「よし、それじゃあアイスでも食いに行くか。」
「ほえ?でも、メルフィさんが『寄り道はしちゃだめ』って言ってたですよ?」
「あん?そんなもん気にすんな。大体自分たちだけ物を頼んどいて俺らが自分の買い物をしないという状況が納得いかねえ。」
「で、でもぉ…」
「じゃあティセはアイス食わなくて良いのか?」

そう言われて‘ハイ。’と返事の出来るティセではない。ティセも始めのうちはウンウン唸っていたが、そのうち涎まで出てきてついに『ティセも行きたいですぅ〜』と誘惑に負けた。

「よし、それじゃあさっさと行くか。」
「ハイですぅ〜」

そう言って二人はルシードが以前ルーティに連れて行かれた公園に出る出店のアイス屋ヘ行き、アイスを食べた。
勿論帰ってからはメルフィと言い合いになったが、ルシードが上手く言い包める事で事は収まった。

(ま、たまにはこんな日も良いかな…)

はしゃぎすぎて疲れたのだろうか、談話室のソファーで寝てしまったティセに布団を掛けながらルシードはそう思った。


FIN?



あとがき (はたしてこれをあとがきと言うのだろうか?)

今回は珍しくタイトルが先に決まりました。
大貫妙子さんの『LUCY』と言うアルバムに入っている曲からタイトルは頂いたのですが、曲のイメージと合えばいいなぁ…なんぞと考えて創ったんですが実際は…どうだったんでしょうねい?

ま、それはさて置き、この曲は個人的に大プッシュできる物なので、レンタル屋で見掛けたら是非1度歌詞カードを覗くなり借りるなりしてみて下さいな。
じゃ、




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