人間ってそんなものね。



まつりは突然に、そして静かに幕をあけた………。

バ―――――ンッ!!

「由羅ちゃんと〜じょ〜」

朝っぱらにジョートショップの扉が勢いよく開かれた。そう言って入ってきたのは勿論ライシアンの『橘 由羅』である。
中に居た一同は皆ビックリして一斉に扉の方を見る。因みに食事時だったらしく、四人食卓を囲んで仲良く食事をして居た。
その光景を見て由羅は『あら〜』と言いながら大きな汗を一つ、縦にスライドさせた。

「で、登場したのは分かったけど、由羅、おまえ…何しに来たんだ?」

そう言って由羅に話しを促したのは店の大黒柱『司 珠呂』。茶髪のロングで、後ろ側で一まとめている。目は金に近い薄い茶色だ。

「ま、なんだ。そんな所で突っ立ってるのもなんだろ。こっち来てすわれや。」

腰まであるロングの髪をストレートに下している背の高い男が言った。男は自分の名を『ジョート』と名乗っている。
本名は在るようだがそれを町の人間で聴いた者は居ない。目の色は髪と同じ黒で女顔をしている。

「それじゃまあエンリョ無くお言葉に甘えて。」
「それじゃあお茶を淹れるわね、ちょっと待ってて。」
「あ、ご主人様、僕も手伝うッス〜」

そう言うと一人の女性が席を立ち、それに続いて一匹の犬のような外見をした魔法生物がその女性の後を追った。
女性はこの店の女主人で『アリサ・アスティア』と言い珠呂やジョートを飼っている(?)奇特(?)な女性だ。
そして、彼女の後に付いて行った魔法生物は『テディ』。やれ『ペット』だの『犬』だの言われてはいちいち反応して来るからかい易い魔法生物である。

二人が台所の奥へ行ってしまうと、由羅は改めて椅子に腰掛け珠呂とジョートに話しを切り出した。

「今日来たのはね、実は頼みたい事があるの…」
「俺達に?」
「アリサとか他の連中に言わなくていいのか?」

珠呂の言葉にジョートが疑問を付け加えて投げた。

「う〜ん…言っても良いんだけどね、なるべく秘密にして、後で『ド〜ン!!』ってやりたいのよ。それに、あまりにことが大きくなりすぎて本人にばれちゃうのは本末転倒しちゃって困るから………。」
「で、結局の所おまえは何がやりたいんだ、由羅?それが分からない限り俺もジョートも動けないぜ。」
「そうだな、ま、俺はどうやら面白くなりそうだから今から乗る気満々だけど。(笑)」
「あのな…」
「なんだ珠呂?なんか言いたいことでも?(ニッコリ)」
「イヤ、なんでもない(ぐったり)」

二人のやり取りを見て居た由羅はポカンと口を開け、ついついボーッとしてしまった。

「お〜い由羅?だいじょ〜ぶかぁ〜?」

ポカンと口を開けっぱなしにしている由羅にジョートが目の前で手を振っている。由羅はハッとして言った。

「えっ、あ、ああ、大丈夫よ。それより二人とも…何時もこんな感じなの?」
「ま、大体わな。」
「おかげでこいつが来てからと言うもの、俺は散々な目にあいっぱなしだ。」
「でも退屈はしないだろ?」
「退屈させてくれなさ過ぎるんだよ。俺の平穏を返せ!」
「アハハ〜、そりゃあも〜無理だね。諦めな。ダイジョブだって、よく言うだろ?『住めば都』って。」
「おまえが居なくなりゃあもとの都に戻るんだがな……。」
「ギャ〜〜〜〜っハッハッハッハッハ、そりゃあ言えてら。ま、その辺は考えといてやんよ。」

そんな事を言いながら二人は由羅の頼みを聴いた。

「……ふ〜ん、話しは大体分かった。で、俺達は具体的に何をすれば良い?」

由羅の話しを聴き終ると、ジョートは由羅に言った。

「具体的には決めてないのよねぇ…。だから面倒かもしれないけどそこから頼めないかしら?」
「どうするよ珠呂?おまえさん、なんか考えでも在るか?」
「ん〜〜〜〜〜………」

そう言って暫く考えこんで居た珠呂だったが、急になにか名案を思い浮かんだらしく、『そうだっ!』と言って話しを続けた。

「アレがあるじゃないか!アレがっ!!」
「アレって?」

疑問符をいっぱいこさえた由羅が珠呂に聴き返す。珠呂はジーッとジョートの方を見ながら由羅に説明した。

「ウチに巣食う生き物が最近ミョーな動きをしてるんでな。それと一緒に事件解決と行こうじゃないか。」
「はて?ジョートショップに最近ミョーな動きをする生き物なんて居たかな?ミョーな生き物だったらテディが該当するが…?」

思いっ切りすっとぼけた表情でジョートは珠呂に聴き返す。その言葉を聴いて、珠呂は喚き散らした。

「おまえだろーがっ!こぉんの馬鹿ジョートっ!!なんなんだよ最近の不規則な生活振りはっ!!」
「き…今日は早起きして朝食もちゃんと一緒に取ってるじゃない。」
「何日振りだよ!?」

珠呂に聴かれてジョートは冷や汗をスライドさせながら『ええ〜っと〜』と言いつつ指を折りつつ数え始める。
すると、さっきまでお茶を淹れていたアリサがテディをつれて戻ってきた。
二人を見つけた瞬間ジョートの目は『キュピーンッ!!』と光り、急に目を虚ろにしながらウルウルさせて―――そう、それはまるで恋する乙女のような表情で―――珠呂に向かっていった。

「ええ〜〜っとぉ…、珠呂君と裸で一晩を共にした日からだからぁ…」

ジョートがクネクネと腰を動かしながら言った言葉を聴いて、その場にいた一同は一瞬動きを止めた。

「10日ぶりくらいかな?」

固まる一堂を他所に、あっけらかんとした表情で言うジョート。暫くすると気マズ〜イ空気が流れる中、由羅は後ずさりをしながら

「じ、じゃあ具体的な方法はそっちに任せるから、後は頼んだわね。じゃ、」

と言って大急ぎで店を出て行ってしまった。

「あらあら、折角お茶を淹れてきたのに…、どうしましょう?」
「イヤ、アリサさん、そう言う問題じゃあ」

「そうだよアリサ、アリサの淹れたお茶だったらオレ何杯でも飲めるぜ。」
「ジョート、お前もそう言う問題じゃあないだろ!?」
「じゃあどう言う問題だよ?」
「あのな……話を聴いていたのは由羅だぞ!!ローラ、トリーシャに次ぐうわさをばら撒くのが大好きなヤツなんだぞ!!」
「じゃ、尚更良いじゃん。」
「えっ!?」

珠呂が驚く中ジョートは『シレッ』としながら続ける。

「良いじゃん別に噂くらい。広めてくれるんだったらどんどん捻じ曲げて捻じ曲げてどんどん有らぬ方向に持っていこうぜ?」
「そんな事してどーすんだよ?」
「別に。ただ面白がるだけ。」
「無意味だなぁ…」
「うん、無意味だよ。ああ、それで話を元に戻そうか。で、俺を利用するみたいだけど、どう利用するんだ?」
「ああそうだったな、じゃあ早速内容を話すとするか………」
「ボクも参加していいッスか?」
「そうだな………いや、やめとこう。」

一瞬了解しかけたジョートはテディの参加を断った。
『どうしてスか?』と聴いてきたテディにジョートはにっこりとした笑顔でこう言った。『口軽そうだから。』テディは

「そんなぁ〜。ジョートさん酷いッス〜」

と言って食器を片付けに台所へ戻ったアリサのところに『ご主人様〜』と情けない声で言ってしまった。
テディを見送った珠呂とジョートはアリサの手伝いをしないことに多少の申し訳なさを感じながら珠呂の部屋へと行き作戦を練り始めた。




あとがき

とりあえずこれでお終いですが、話はちゃんと続けます。
これで区切ったのは、多分長くなるであろうと言う私の勝手な予想と、このままダラダラと出し続けない状況にいるのかと思うとムカつきを覚えたからです。
とりあえずまだ続きますが、読みたいと思う方はまっとって下さい。では〜




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