人間ってそんなものね。



「だ〜か〜ら!マリア見たんだってばっ!ジョートとリーゼが一緒にリベティス劇場から出て行く所!!」
「それ本当?やっぱりあの二人、実はデキてたんだぁ。」
「う……嘘だ…『アノ』リーゼさんがジョートなんかとデキてるなんて………。」

学校に着いたマリアは、早速今朝見た光景を教室に居たトリーシャとビセットに言いふらした。
話した内容としては『ジョートとリーゼがリベティス劇場から二人して出てきた。』と、言うような物だったが想像(この場合は妄想か)とは凄い物でアッと言う間に在らぬ方向へと行ってしまった。

「嘘だぁ〜!!『俺の』リーゼさんが『アノ』何処の馬の骨とも知れないジョートと付き合っているなんてぇ〜〜〜〜!!!」
「でも、背格好とか見てると、結構あの二人ってお似合いかもね。」

ビセットの嘆きにトリーシャはとどめを刺した。

因みにトリーシャは現在第三部隊に仮所属しているが、学生であるために日中は学校に行かされていた。
本人としては学校をサボる口実になるとも考えていたようだがキャルが『隊長命令』として学校に行くようにトリーシャをなだめたのだ。
どうやらその辺はトリーシャの父親であるところの第一部隊隊長の『リカルド』が影でキャルにプレッシャーを掛けた様だ(笑)。

「でもアレだよね。」
「?。何よ、トリーシャ?何か気になる事でもあるの?」

軽く冷や汗をたらしながら言ったトリーシャの台詞をマリアが促した。

「そんな事があったなんて事をシェールが知ったら……」
「そりゃあ血相変えてジョート殴りに行くんじゃない?現にビセットもなんか目がすわってるし。」
「マリア…このことはくれぐれも本人には内密に………」
「もう無理よ。」

大惨事が起きる事を予想したトリーシャがマリアに言ったがマリアはシレッとしていった。

「えっ…?」
「だってもうシェールには言っちゃったもん。」
「え゛っ……。そ、それでシェールは?」
「うん。物凄い血相変えてどっかに行っちゃった。」

ビセットとトリーシャは顔を青くしてとりあえずジョートの無事を祈った。

「………血の雨が降るな…」
「うん…」

だが、二人にはどうしても、ジョートの無事な姿は想像できなかった。


そしてジョートショップ……

バー―――ンッ!!!
扉を開ける物凄い音と共にこれまた物凄い形相でやってきたシェールはおびえる更紗―――昨日の今日だったが仕事なのできざるを得なかった―――とテディに

「ジョートはッ!」

と言った。必至の反抗を試みたテディが一言『シェールさん、店を壊さないで欲しいッス』と言っては見たものの、『なんか言ったッ!?』と睨みを効かされて『なんでもないッス〜』と言って黙り込んでしまった。

「で、ジョートは?」

シェールは改めて聴くと、テディは怯えながらも

「ジョ、ジョートさんなら部屋で寝てるッスよ。でもさっき寝たばかりだから当分起きないと…」
「お姉ちゃんもアタシが学校行く頃になって帰ってきたけど何もなかったようにお店に行ったわよッ!!」
「なんでそこでリーゼが出てくるの?」

シェールの台詞に思わず更紗は聴いてしまった。……イヤな予感がした。でも、聴かずにはいられなかった。シェールは一言、自分も認めたくないと言うように短く吐き捨てた。

「昨日、お姉ちゃんとジョートが一緒にリベティス劇場から出てきたのよ。」
「えっ?」

更紗は思わず声をあげる。昨日ジョートは確かに言った。『公園で打ち上がっている』と…『多分』という言葉もついてはいたが何故?

「リーゼさんには聴いたッスか?」
「まだよ!これから行くわ。どうせ隣だしっ!で、じゃあジョートは部屋にいるのね。」
「そうッス…」

テディが短く答えるとズカズカとシェールは奥に入ってしまった。
テディはあたふたと慌てふためき、更紗はただただ震えていた………

チョット間があってどうやらシェールがジョートの部屋の前に辿りつたらしく、先ほどと同じように『バ――ンッ!!』という凄まじい音がして、数秒後『ボコッ!』と言うなんとも痛々しい音が聞こえた。
どうやら遠慮無しにグーで殴ったようだ。更に暫くして‘のっそのっそ’とジョートが階段から下りて来た。
頭には大きなたんこぶがあるが、どうやらいまだに寝ボケているらしく体も精神も半分寝ているらしい、痛みを感じていない様だ…。

何時ものように洗面所へと行き顔を洗ってため、幾分目が覚めたらしい。それでもまだ目は完全には覚めていないらしくどうにも変な違和感があった。
ジョートの後ろからシェールがギャンギャン色々と問い詰めようとしているようだが、どうやらち〜とも聴いていない様だ。
そして、何時もの要領で更紗を発見したジョートは挨拶をする。

「おはやふ……」
「おはよ。」

ジョートの挨拶に更紗は下を向いたまま短く答えた。
するとジョートは更紗の返事で満足してしまったらしく椅子に座って『オヤスミ……』と言ってそのままテーブルに伏せて寝てしまった。

…………………………

なんとも言えない間抜けな間が走った。
シェールは一瞬怒りも忘れ、更紗はパニックに陥っていたはずの頭が一時ストップし、テディはなんとも言えない間抜けっ面をしてしまった。
『ハッ』と言って我に帰ってシェールが『コラーッ、ジョート、起きろぉ〜〜〜〜!!!』と言って体をブンブン揺すっているが、その辺は昨日酒を飲んで貫徹した人間である。
一度寝て早々簡単に起こせるはずがない。更紗も止めようとはしたが、シェールはとめるのも聴かず相変わらずぶんぶんジョートを振っていた。

暫く頑張っていたシェールだったがついには疲れ果てたらしく、『ハァ、ハァ…』と息を切らして『ダメだぁ〜』と言って床にへたり込んでしまった。
すると、シェールの揺すりが聴いたかジョートがむっくりと起きた。改めて早速問い詰めようとするシェールがジョートのセリフを聴いて固まった。

「気持ち悪い………吐く。」

その場にいた三人は一瞬理解できなかったようだが、次の瞬間『おえぇ〜』という声と共にジョートが吐き出した。
それを見てシェールは『ぎゃああああああ〜〜〜〜っ!!!』と悲鳴をあげパニックに陥り、テディは『うわっジョートさん店を汚しちゃダメッス〜』とジョートより店の心配をし、更紗のみが全てを理解し急いで風呂場から洗面器と雑巾を持ってきた。
酒の酔いがまだ抜けきっていないところにアノ仕打ちで、どうやら再び胃に来たらしい…。

更紗はテディに水を持ってくるようにとジョートの背中をさすりながら言った。
そしてテディが水を持ってくると、ジョートはうがいをし、体に水分を補給した。
まだ顔は幾分青かったジョートを更紗が心配しているとジョートは『チョット横になる』と言ってそのまま更紗の膝を枕代わりにして再び寝てしまった。
更紗はどうすることも出来ずに‘膝枕’の格好でただただ顔を赤くしていた。

その一部始終を見ていたシェールは『もういいや。』と言って玄関の方へと歩き出した。『どうしたッスかシェールさん。』とたディが尋ねるとシェールは振り帰らずに言った。

「なぁ〜んか更紗とジョート見てたらさ、怒る気失せちゃった。とりあえずお姉ちゃんに聴いてからどうするか考えるわ。じゃあね。」
「そうッスか。」

テディが短く答えのもそこそこに‘カランカラン♪’と言う音と共にシェールは店を出た。
残された二人はどうともせず(出来ず)テディは二人を見て『お邪魔虫は消えるッス〜』とこれまた余計な一言を残して表へ行ってしまった。
アリサを探しにでも行ったのだろう。
更紗は更に顔を赤くして戸惑っていたが、やがて顔の火照りが大分収まると改めてジョートの顔を見やった。
青かった顔も大分元に戻り『スヤスヤ』と穏かな顔で寝ている。綺麗に整ったそのジョートの顔を見ながら更紗はまた再び顔を赤くして一言、呟いた。

「ねぇジョート…起きたら全部教えて、貴方の気持ちも、何もかも………」

と………

そして、店を出たシェールはと言うと、聴こうと思ったことはうやむやに誤魔化された挙句、学校をサボった事でリーゼにきつーいお灸を据えさせられ

「ああ〜もうっ!それもこれも全部ジョートの所為なんだからっ!今度会ったらぜぇ〜ったい殴ってやるぅぅぅ〜〜〜〜!!!」

と嘆いたそうな…。



あとがき

ハイ。そんな訳で第五話です。どうやらどう頑張ってもこう頑張っても次回で終わりそうです。
まあなんと言いましょうか、長い道のりでした。
でも、こんな事行って次回終わらなかったらギャグだよねこりゃ、ハッハッハ。

そんな訳で、飽きちゃったという人は読まんで結構です。
でも、次回を待っててくれる人は楽しみにしててくれると嬉しいです。
じゃ、

PS.やっぱり女の子は可愛くなくちゃね。嗚呼〜更紗が可愛い…にゅふ。




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