満月衛星。-ss-in coma 満月衛星。 ss - in coma

『in coma』









 夢……









 いまだ覚めない夢の中









 風子はベッドの上に居ました









 何も無い真っ白な部屋で、おねえちゃんが泣いている姿だけが、風子の隣にありました。









 そんなおねえちゃんの悲しい姿をみる事が出来なくなって、風子は目を覚ますことにしました。









 そして夢から目を覚ますと、そこはまた夢の中でした……









 浜辺で風子は何をするでもなくて、いつもみたいにヒトデと遊んでいました。
 ヒトデは可愛いし、寂しくもありませんが、楽しくもない一人遊びです。



 そんなことをしていた風子のもとに遠くから誰かが「イヤッホーーゥ!」って叫びながらやってきました。
 そして手を引いて言いました。

「お前、ひとりで何やってんだ、今日はヒトデ祭りだぞ!」

 って。

 風子にはヒトデ祭りがどんなものだったか、今はもう思い出せません。
 だけど今までずっと一人だった風子に、色々な人と交わる祭りはとても楽しいものでした。
 そんな気がします。

 だた、風子にはわかってしまいました。それが夢だということが。
 いつかは覚めてしまうものだということが。





 そして、その夢を終わらせなければいけないということが







 終わりは


 終わらせなければいけません。なぜなら


 始まりを始める事が出来ないからです。









 夢を終わらせなければならないと気付いた風子は、この夢にサヨナラを言うことにしました。





 手ですくった水が隙間からこぼれていくように、風子のことはきっと皆忘れてしまうでしょう。
 風子もきっと、みんなのことを忘れてしまうでしょう。





 でも、手のひらから水が零れきった後には、水の粒が残ります。
 だから、少しだけでも良いから、みんなの中に残っていて欲しいと風子は思います。





 どうか、あなたの中にだけでも、と……









 そうして風子は、サヨナラをしました。
 夢と、人と、沢山の想いと、想い出達に……









 夢から覚めると風子はベッドの上に横たわっていて、目の前には白い天井が一面に広っていました。
 また夢なんでしょうかと疑問に思って、辺りを見回そうとしましたが、今までのように体が思うように動いてくれません。


「ふぅ……ちゃん?」


 そんな風子の耳に、声が聞こえました。風子が大好きなおねえちゃんの声です。
 おねえちゃんは風子の顔を覗き込むと、まるで今までダムが決壊したみたいに泣き始めてしまいました。



 ふぅちゃん、ごめんね。おかえり。よかったね。おねえちゃん嬉しいよ。



 溢れた涙と一緒にそれまで溜まっていた色々なことを一色多にまくし立てるおねえちゃん。
 その一言一言に色々と返したかったのですが、巧く喋る事が出来ませんでした。プチ最悪です。









 さあ、終わりにサヨナラを言うことができたから









 新しい始まりを始めましょう。









 楽しいことは……









 きっとこれから始まります









おわり







---あとがき---
 さて、CLANNAD SS祭りに投稿しようかと思ったのですが、読んでて思いました。「こりゃダメだ」って。
 こういう感じの作品は、私は大好きです。が、祭りに投稿するタイプのものではどう考えてもないです。
 んなわけで、ここでひっそりとしていていただこうと思います。

 それではそれでは、ここまで読んでくださった方々に沢山の感謝を込めつつ、今回はこの辺で。ではまた〜
 (05/08/01)

 P.S.感想なんかをmailformBBSにいただけると、嬉しいです。是非……おひとつ……

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送