満月衛星。-ss-月世界 満月衛星。 ss - 月世界

『月世界』


 そっと、唇に触れる。
 触れた先から熱で空に飛んでいってしまいそうになる「ココロ」と「カラダ」。
 地面に縛られない「ココロ」はきっと空たかくまで、どこまでもたかく飛んでいって、きっと大気圏も突き抜けて、きっとそのうち月にまで届くのでしょう。

「わふー……」
「いつもはヴェルカとストレルカを膝に乗せてるのに、今日は僕の膝の上なんだね」
「ハイ、リキの膝枕、気持ちいいです。お天気もとってもよくて、いっつふぃーるそーどっぐ! なのです」
「グッドじゃないの?」
「いえいえ、今日の私は気持ち犬さんなのです。ヴェルカとストレルカの気持ちがよく分かるのです。だから、「どっぐ」なのですっ、わふー」
「そっか」
 しかたが無いなぁなどといいつつ頭をなでてくれるリキ。気持ちいいです。
「わふー……」
「少し、眠る?」
「もう少しだけ……このままで……」
 居たいです、と言う言葉が続きません。リキの膝の上はとても心地よくて、もっとそうしていたいのに、お天気の良さと理樹の心地好さが私を眠りにさらっていきます。
「さーらーわーれーまーすー……すー……すー……ZZZ...」
 ああ、もっともっと、リキの温もりを感じていたいのに……私の……バ……カ……。


 フワフワと、6分の1の重力の上で踊る夢を見ました。リキと二人、手をつないで。『カラダ』は地球にあるのに、「ココロ」だけが月にいて、フワフワとした気持ちが、今も私をここで躍らせるのです。
 「ココロ」が通うと、今度は「カラダ」を重ね合わせたくなって、重なった「カラダ」はそうして「ココロ」も重ねていく。そんな気がします。
 もっとあなたと、リキと「ココロ」を通わせたい……だから、ねぇリキ? 今は夢の中で二人、月の上で踊りましょう?
 それで目が覚めたら、



 『キスしてください』










おわり







---あとがき---
 8月1日、23時40分頃の事です。ふと思いました。
 『締め切りまで後20分ある……じゃあ後もう一本くらいぶち込めるんじゃね?』
 と、言うわけで掲示板にベタ打ちして作ること30分。結局1分20秒ほどオーバーして選考対象から漏れました。
 タイムプレッシャーに負かされてあっちこっちが酷いことになりました。とりあえず、ここでは修正してアップしておきます。
 もうちょっと好くしてあげられたんじゃないかなぁ〜と己の腕のなさをちょいと悔やんでいる最中です。
 (08/08/03)

 P.S.感想なんかをmailformBBSにいただけると、嬉しいです。是非……おひとつ……

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